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裏・このシートは10人がけです。【妄想篇】

2007年12月13日
裏・このシートは10人がけです。【妄想篇】
[ちょっといいもの] [ちょっとどうかと思うもの] [雑記]

このエントリーは、このシートは10人がけです。 続・このシートは10人がけです。【解決篇】の続編です。

「デザインのためなら、死ねる。死なす。」と豪語する、過激な思想を持っているデザイナーがいると仮定する。

ちなみに、この話ではシートのデザインではなく、車両のドアがテーマになっている。

最初は善意から

「最初は善意から発した行為でした。」

長い沈黙の後に、搾り出すように応えた。

「でも、ユーザは常に、こちらの予想の斜め上をいくんです。」

「ええ。最初に地下鉄車両のドアをデザインしてくれと依頼があったときは、燃えましたね。ボクのデザインで、駆け込み乗車や無理な過剰乗車をなくすことができるんじゃないかって。」

「いろいろ考えましたよ。色や形で注意を促す方法はやりつくしました。」

「でも駄目でした。殺気立ったサラリーマンのオジサンや子供は、そもそも見ないんですよw」

自虐的な、疲れきった笑いだ。

「ならば、ドアに挟まれた乗客には、ペナルティを与えようと。思えばこの時点で自分を見失っていたのだと思います。」

羞恥心を利用する『クマースタンプドア』

「それでデザインしたのが、『クマースタンプドア』です。ドアとドアの接地面のゴムがありますよね。あそこにかわいいクマのスタンプを付けたんです。一日で消滅する蛍光・夜光インクを使用して、暗闇でも光ります。いい歳こいたオジサンが、スーツにクマのスタンプされてたら、恥ずかしいでしょう?」

しかし、この作戦は思わぬ原因で失敗に終わる。

「ご存知のとおり人気が出ちゃったんです。クマのスタンプが。中には故意に挟まれるような輩もいましたね。完全に予想外でした。」

加速する狂気『ムラマサ』

「それなら、もっと肉体的なダメージを与えられないかということで、クマのスタンプの代わりに刃物を付けたんです。そうです『ムラマサ』です。指ぐらいなら簡単に切断できます。」

「今思えば、よく採用されましたと思いますが。実際、効果はあったようで駆け込み乗車はほぼ完全になくなりました。駅員が乗客を電車に押し込む光景も全くなくなりました。」

「そういう意味では、目的は達成されたんです。」

そして誰もいなくなった

「当たり前ですが、その車両を採用した鉄道会社の利用者が大幅に減少したんです。誰もそんな危険なものは使いたくないですよね。」

ボクはユーザのことを考えているつもりでいて、ユーザの立場に立っていなかったんです。

そこまで語ると、深いため息の後にこう続けた。

「ところで、最新作の『痴漢すると緊急排出機能』は、どうです?自信作ですよ!痴漢を検知すると、車両の天井を突き破って、犯人を空高く排出する機能です。苦労した点は・・・・」

こいつ、全然わかってない。

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